美術モデラー座談会 その3 学生さんに伝えたいこと

ポートフォリオは変に凝るより、相手にとっての見やすさを重視してほしい

藤川

瀧澤君とか、1年目だからこそ直近の後輩に伝えられることがあるんじゃない?

瀧澤

ポートフォリオが好評だったのは意外でした。
その部分は後輩に伝えたい気もしますね。

藤川

ふむ。

瀧澤

最近の学生さんって、やたらページにこだわるじゃないですか。
歯車とか置いたりとか、背景黒くしたりとか。
ちょっと安っぽい感じがして、作品だけ見せたいと思ってなんとなく真っ白のフォーマットにしてみたのですが、「見やすくて良い」と思ってたより言ってもらえたのが意外でした。

学校で言われるんですよね。
ポートフォリオのページ、凝りなさいって。

瀧澤

あっ、言われるんですか。

僕が今、夜間で通っている学校はデザイン系なので、映像とは少し違うかもしれないんですけど。とにかく、装丁とか見せ方は凝りなさいってすごく言われます。ただ、こうやって作品を見ている側からすると、装丁とかはあまり関係が無くて、内容物のほうが重要な気がしますね…。

宮崎

たぶん、センスがある人が凝れば、その凝ったものはプラスになるんだけど、そこでアラが見えて、あ、この人これが苦手なんだなって見えてしまうとマイナスになるんだよね。
それなら真っ白のところにきちんと配置されてたほうがすっきりする。

藤川

人事側の意見としては、瀧澤くんのポートフォリオでいいなと思ったのは情報の優先順位がきちんとついていることですね。
すごく見やすいんですよ、見ていると。
読まなくていい情報は読み飛ばしても伝わって来るし。

瀧澤

けっこう無意識でやってました。

藤川

なんか本当に、装丁だけ凝っているけど見辛いっていうのはすごく多いパターンですよ。
凝ることがいけない訳じゃないんだけど、「見せるべきものを魅せるために凝るべき」だと思うんですよね。
主役じゃないものを凝った結果、主役がぼけてしまっては、見づらいだけだったりします。

立体のポートフォリオが宅配で送られてきて…すごく見難かったです。

藤川

あとは、名刺とかを手作りしてくれるのは良いんだけれど、名刺ケースに収まるサイズにしてほしいとは思いますね…。
「これどこにしまえばいいの!?」みたいなのはちょっと困ったりしますね。

古部

特注サイズみたいなの、あるんですね…。

藤川

進行役なんですが、ちょっと言いたくなっちゃったのでポートフォリオ見る側として意見を言っちゃってもいいですか?

一同

どうぞ。

藤川

「見る人のことをちゃんと考えているかな?」っていうのはすごく重視するので、たまに染みがついてたり、折れ曲がっていたりするポートフォリオを送ってこられたりすると、その時点で弾いたりもしてしまいますね。
本当にちょっとだけ、気を付けてれば回避できることを回避しようとしない人って、仕事でも、細かい部分に気が回らない人だと思うんですよ。

それは確かに嫌ですね。
やっぱりチームで仕事する以上、相手のこと考えることができないと。

学生時代の交友関係は、別々の職種に行ったとしても大事にした方がいい

藤川

さて、それじゃ進行役に戻りまして、宮崎さんはいかがですか?

宮崎

そうですね。
自分が学生のころはそこまで意識してなかったですけど、学生時代の交友関係って案外、助けられたりします。
違う業界にいっても、年齢が上がって、一緒に仕事出来たりとか。
そういう意味では、ホントに人との出会いは大切にしたほうがいいなって思いますよ。

藤川

それは最近、自分も良く感じますね。
初めて一緒に仕事した人とのつながりとか、かなり今に生きてます。

特に、CG業界なんてすごく狭いので、同級生は大切にしておくといいですよね。

宮崎

違うスタジオの噂とかね。

藤川

僕はけっこう学生のときは遊んでいてほしいなと思いますね。
それだけやっていたら幅が狭くなっちゃう。

宮崎

うん。デザイナーなんて特に、違うものを見ておいたほうがいい。

学生時代はがむしゃらに「つくる」というのに向き合ってみるといい

藤川

次は古部さんいきましょうか。

古部

自分も人の繋がりは大事だなーと思うんですが、ちょっと厳しめの意見を言ってみたいと思います。
これまでの話とちょっと逆行するように聞こえるかもしれませんが、もう少しがむしゃらになってみてもいいんじゃないかなと思いますね。

藤川

というと?

古部

たとえば、学校から出された課題があるなら、それも一生懸命やるべきだし、期限に間に合って出せたらいいや、とかじゃなくて、ちゃんと向き合うべきなんですよ。
そうしないと後々痛い目を見るわけです。就職できないとか。
例えば、人から与えられた課題であっても、自分なりのテーマを見つけたりできるはずなんですよ。
取り組み方次第でプラスになるはずなんだけど、遊ぶ片手間に、とりあえずノルマのようにやっている感じの人も結構いるのが残念ですね…。
学校で出された課題も、楽しんで全力で取り組んでほしいと思います。
それに、ちゃんとやればポートフォリオに載せられるし、後々役に立つと思うので。

藤川

…なかなか手厳しい意見ですね。

古部

いやいや、まぁ、頑張ってほしいからこその辛口エールですよ。

瀧澤

でも、作品に対する熱意とかって、伝えるのなかなか難しいですよね。
アドバイスをしたところで本人にやる気が無かったらそこまでですし…。
せっかく学校入ったのに遊んでばっかの人とかはもったいないですよね。

宮崎

もともとそういうのってあるんだろうね。作る側と、消費する側、というか。
CG好きで学校入ったけど、作るのはそんなに好きじゃなかったとか。
それはもう、仕方がないのかも。

藤川

まぁ、ちょっとドライかもしれないですが、学生時代に課題に真剣に向き合えなかった場合、運よく仕事につけても、作るのが好きでないなら、辛いだけかもしれないですよね。

宮崎

まぁ、課題とか勉強には当然、きちんと向き合いつつ、一生懸命遊ぶのが一番ってことで!「ものづくり」が好きな人だったら課題も楽しくできるはずだしね。

カナバンは結構雰囲気柔らかいということ

藤川

次、なにかあります?

カナバンってピリっとしていて、少数精鋭なイメージを持たれている方が多いみたいですけど、実は中に入ると割とそうでもないというか…その辺はお伝えしておいた方がいいかなって。

藤川

専門学校とか回っていると「少数精鋭のアーティスト集団」みたいなイメージが強いようですね。中に入っちゃうと全然そんなことなくてかなりアットホームな会社ですよね。

もちろん、仕事は皆さんきちっとされますけど、全体的に雰囲気は柔らかいんじゃないかなと思います。あと、そんなにチャラチャラした会社ではありませんよ、と。
阿部さんがここに出社する初日の時に、カナバンはみんな明るくてワイワイ騒いでいるような会社だと思って、気合を入れてきたら全然違う会社だったって、おっしゃってました。

宮崎

そういえば、長田さんもそんなことを言ってた気がする。
すっごくいろんな人がいて、すごく濃い人がいっぱい居そうだって。

田中

クセの強い人が居そうだなぁって?

藤川

まぁ、クセは強いと思いますけどね…みんな。

田中

いくら水につけてもアクが抜けないというか…
「まだ出るのかこのゴボウ!?」っていう。

一同

あははは。

藤川

でも、みんな楽しく仕事しているのは間違いないです。